

先週末はロンドン視察
初ロンドン、駅に到着してすぐにカッコいい街の雰囲気に当てつけられる。
なんだか、すごくキラキラして見える。初めての東京、初めてのNYと似た感覚。
今まで見て来たヨーロッパの都市とはちょっと違った、大都会に来たって感じのワクワク感がある。



National Gallery
真っ先に見に行ったのは、Richard Hamilton The Late Works
企画展は撮影ができないので画像はなし。
というか作品を複写した何らかの画像を見たとしても全く意味を成さない、そんな絵画だった。図録を購入するもメインはテキストです。
タブローの中で入れ子式に展開される"写真による虚像"と"写実的に描かれた具像"、神聖でナラティブな様をお持ち込みつつ、1つの絵の中で、虚と実の狭間の行き来を何度も促される。
点数は少なかったけれど、写真、絵画、デジタルの加工技術、印刷技術と扱われる表現メディアも多様で複雑なので、1点毎、見るのに時間がかかる。とても興味深く、実物を見られて本当に良かった企画展だった。




大英博物館
ロゼッタ・ストーンの本物を見る。
刻印されたヒエログリフの鮮明さと配列の美しさに驚く。
これは、そして明らかに何かを残して伝える情報伝達の為に発明されたものだよなぁと実感。
その他、古代ギリシャ、ローマなのどのレリーフも興味深かった。
レリーフでありながらも描写は繊細で、動きの表現、場面展開等は、日本の絵巻物も思い出しつつ、アニメーションや映画の歴史とリンクする。
この頃、構造物の周囲の壁面等に展開されるレリーフは、水平方向へ物理的又は、空間的な広がりを持って時間的概念が配置されている、つまり人間の歩行による視点移動を利用した、時間と空間をナラティブに表現出来るメディアであったと、映画的な解釈もできる。表現的な限界はあるものの、残されたものを見ると、メディアとしての普遍性があるよなぁと染み入る。
Tate Britain
ターナープライズの候補作家展
映像インスタレーション2人、絵画1人、パフォーマンス系1人。
映像インスタレーションは、どちらもファウンドフッテージや写真を用いたドキュメンタリー的な作品。上映作品としても堪え得る内容。というか上映の方が良い。
記憶、再構築、写真といったキーワードによって、実験映画と現代美術が再接近している点にも注目出来る。


そして、大量にターナーを見る。ターナーもまた、ぼくが好きな絵画の1つ。
その場の空気が纏わり着くかの様に、風景画を感覚的に体験できるのが面白い。ターナーの絵に囲まれると、ある意味、映像インスタレーションよりもリアルな体験。
水彩画の小作も沢山見られて良かった。


また、ターナーについての研究資料(色彩設計、絵の具の研究、色の分布図等)の展示も興味深い。
ターナーを模写しましょうコーナーも人が堪えなかった。


Tate Britainは改装中らしく、展示替えの様子や、新しい展示台(?)を乾燥している所も開けっぴろげでそれもまた面白かった。

コレクション企画は家族がテーマの写真と絵画。
ホックニーの母を描くシリーズもまた好きです。
Tate Modan
まず、特集上映のドキュメンタリーを見る。言語的にちょっと内容が難し過ぎた…
コレクションは、壮大だけれど、人も多過ぎたせいか、あまり良い印象は得られず。
これまで見て来たものを思い出しつつ、NY、パリ、ベルリン、ロンドンとそれぞれの都市の主要な美術館でのコンテンポラリーアートの見せ方の違いが面白いなぁと思う。Tateはなんだか、俗っぽく言うとcoolな見せ方。素っ気ない。プレゼンテーションに地域性が出るというのもなかなか興味深い。
ウィリアム・クラインと森山大道展、ウィリアム・クラインを大量に見るのは初めてだったので、インパクトが強かった。森山大道は、日本で見たことのある内容が多かったが、海外で改めて見ると、外国の作品(ロンドンから見て)という付加価値が加わって、少し意味が変わってくるなぁと思わされた。日本で見るのがベストな写真だと思う。










自然史博物館
これまでになく、イージーウォッチングな博物館。展示手段が、言葉を介さなくとも視覚的に理解出来る様に上手くデザインされている。グラフィカルでポップな解説図が上手い。日本の博物館とも雰囲気がよく似ている。
好みとしては、ベルリンやウィーンの自然史博物館の様に余計なサインが無い方が良いけれど、子供向けに興味を魅いたり、観光客向けにショップへ誘導したりといった点ではよく出来ている。これも大事。



ロンドン博物館
ここもまた、展示がかっこ良い。産業革命や二次大戦の内容が希薄なのがちょっと不思議。
National Portlat Museum
撮影NG。絵画、写真のポートレートのみの美術館。古風な美術館と思われるかもしれないが、Julian Opieがハイビジョンモニターでループアニメーションのポートレートだったりするのは流石。しっかり現代まで繋げてくれます。ポートレートによって美術史を綴って行くのも予想以上に面白い。
Film Museum of London
HPには、詳しく情報がなかった(と思う)のだけれど、2回も行ったのに展示準備でクローズだと言われる。なんだかフラれてしまった…。






街歩き
始めにも書いたけれど、とにかくカッコいいです。カッコ良さにも深みがある。
所々、新しいビルが建っていたり、予想以上に街が綺麗(ゴミとかグラフィティが少ない)のはオリンピクゲーム招致の影響でしょうか?地下鉄の路線図なども見やすく、日本のサインデザインともよく似ていた。









いつもの様にフリーマケーッともいくつか廻りましたが(これは制作の為の資料収集でもあるので重要)
驚く程に良い物がない…、というか良さそうな物は沢山あるのだけれど、好みの物がない…。
ドイツのフリーマーケットの様にとにかくなんでもありって訳でもなく、北欧のセカンドハンドの様にセンス良い使える日用雑貨があるって訳でもなく…、何だか結構選別されちゃってるか、すっごいどうしようもない物かって感じ、雑貨も古着も。特に古着は東京や札幌の古着屋と良く似ていました。仕入れルートが似ちゃってるのかな?ということで、この手の収穫はゼロ。






食事は、郷土料理と定番のフィッシュアンドチップスを多能しつつ、ドイツではちょっと味わえないオサレフードを頂いて来た。パキスタンカレーがとにかく美味しかった!
カレーを除くと、味の素っ気なさ見た目なんかは、アートのクールさともちょっと通じてるかも(?)


ロンドン、なんだか街全体から醸し出される、私達全部持ってますよ、先行ってますよ的な余裕を感じた。