2012年09月19日

Split Film Festival

「Thinking Dot」が幸運にもSplit Film Festivalのショートコンペティションにて上映されることとなったので、9/16〜18にクロアチアのスプリトへ。
初めてのクロアチア、ドイツに滞在していなければ、日本からは映画祭の為だけに訪れるのもなかなか難しいところ。今のこの状況に本当に感謝なのです。

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クロアチアというと、首都ザグレブで開催される実験映画に特化した映画祭25FPS(この後行くことになる)とANIMAFEST ZAGREBが知られていると思いますが、クロアチア第2の都市スプリトでも、過去16回に渡り国際映画祭が開催されていている。
コンペは長編、短編両部門で欧州に限らず世界各地から作品が集まる。欧州の名立たる映画祭と比較してしまうと、小規模な映画祭だけれど、特集プログラムやレクチャー、他地域の配給組織のプレゼンテーション、地元のプロジェクトのプレゼンテーション、ワークショップなど内容も充実していて、コンペにおいて新しい表現や視点、価値観を提供する(映画鑑賞、映像表現の幅を広げる役割)と共に、映画祭としての主張、他地域との関係作り、教育という点でしっかりと地域と映画、若しくは映画を作る人を繋げる役割を担った映画祭という印象を持てた。

スタッフ編成は非常にコンパクトで、メインで動いているスタッフは10人に満たないはず。皆さんとても親切でフレンドリー。
参加作家への対応も良く、空港〜ホテル間の送迎も融通してくれる。比較的空港と会場のある中心街が近い(車で30~40分程度)ということもあるが、海外からの参加者にとってこの対応は本当にありがたい。
会場係や受け付け、記録、舞台挨拶の司会等は若い人達(といっても20〜30代)が、交替で担当していた。服装なんかもとってもラフで肩肘張らない感じが親しみやすい。
特集上映ドキュメンタリー作品の舞台挨拶の時に、フランス人プロデューサーがセットアップでキッチリ決めてきているところ(これはこれで正しい)、司会のおにいちゃんはテロンとしたポロシャツにユルユルのチノパンだったのが、なんだか地元感が出ていて微笑ましかった。因にぼくは毎日30度近くと暑かったので半袖短パンで参加。リゾート地という事もあってかみんなそんな感じ。
あとは、この映画祭もそうだったけれど実務的にも、対外的にも映画祭運営で活躍しているのはやっぱり女性だなぁって思わされた。これは現状世界共通なのかなぁ…。未見の北米、南米の映画祭はどうだろうか?

ぼくの滞在は自分の上映に合わせての2泊3日と短かったが、プログラム鑑賞の他にも、レクチャー、プレゼンへの参加、街歩きに美術館鑑賞とかなり詰め込めた。
また初訪問のスプリトの観光地としての水準の高さにも驚かされた。
以下、映画祭及びスプリトについて見られた範囲のレポ。

「ショートフィルムコンペティション」
応募条件として、ジャンルに制限はない。
ショートでノミネートした作品は、実験系の作品が多く、作家は20後半〜30代前半の世代が中心。
フィーチャーフィルムのコンペもあるせいか、ショートでは表現的に私的で独創的なものを取り上げている印象。アニメーションやドキュメンタリーもチラホラと入っている。
ぼくの滞在が短かったので、スタッフにアーカイブで他のコンペ作品は見られないのかとお願いしてみるも、
そういった閲覧システムは無かった。でも、ぼくのリクエストに対して、ゲスト担当のスタッフが上映用DVDのコピーをPCで見られないのかと責任者に問い合わせてくれるあたりにホスピタリティの高さを感じる。

「会場」
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メイン会場は、世界遺産にも登録されている歴史地区の中にあり、外観からは映画館とは思えない様な石造りの狭い路地にある。地元民にはお馴染みのミニシアターといったところ。シアターの他に、プレゼン、レクチャーなどで使用出来る会議室も備わっていた。
シアター内カラフルなシートの背もたれに著名な映画監督の名前がプリントされていて可愛らしい。2階席もある。
コンペ作品と短編の特集等がこの会場で上映され、長編の特集上映がもう一つの大きなシアターで上映される。2つの映画館は徒歩で5分程度の距離感。
残念ながらメイン会場の上映環境はそれほど良いとは言えなかった。仮設のプロジェクターの品質の問題。
もう一つのシアターはスクリーンも大きく、映画館として通常営業、レイトショー的に映画祭プログラムがかかる。

観客層は、20~30代に見える若い人が多く、地元のアート系、デザイン系の人もよく見に来ている様だった。
プログラムによっては2階席も含めて満席、立ち見もあった。時折観光客らしき人達もチラホラと見かける。
スタッフに誘われて、上映の合間に地元のアーティト達、ゲスト作家のIvan Ladislav Galeta(クロアチア実験映画の重鎮)さんと一度お茶ができた。皆さんとても良い人。ぼくの作品にも興味を持ってくれて翌日の上映にも来てくれた。

「上映スケジュール」
プログラムは、毎日夕方17時頃スタートで1日4プロ、終わりが0時過ぎというのが基本。開催はオープニングを入れて8日間。日中は午後からプログラム上映までの間に、レクチャーやプレゼンテーション、ワークショップが催される。

「レクチャー」
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ぼくが参加したのはクロアチア実験映画の重鎮Ivan Ladislav Galetaさんの講義。
視覚、動画の仕組みについてのお話。残像効果とフリッカーについては万国共通です。
その後のレトロスペクティブ特集上映での初期実験映画作品とも連動している。作品は徹底した構造主義。フレームバイフレームでの時間的処理、多重露光、同ポジ手法等により、映画の成立につて問題提起を促す作品。初めて作品を見たが非常に面白かった。東欧的と言ったら良いのか?硬派筋だけれど、スタンディッシュ・ローダーのウィット感とも少し似ている。

「プレゼンテーション」
エストニアのディストリビューション、Estonian Film Foundationによるプレゼン。エストニアの作家事情、配給事情について解説。参考上映では、アニメーション作家Priit Parnの「Time Out」を上映。スプリトの雰囲気をバッチリあった作品(とプレゼンターも解説していた)。
個人制作系の映像作家、アニメーション作家にとって自作の配給、管理などのマネージメントについてはどこでも同じ様な問題を抱えてるが、特にローカルであればあるほど、こういった国際映画祭の中で情報交換を出来ることはてもとても重要であると思った。

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もう1つのプレゼンは、地元の終戦前後あたりからスプリトの復興を描いたの古い映像の再編集による記録映画の上映と制作プロセスの解説。ぼくにとってはこのプレゼンテーションが非常に良かった。
会場は、コンペプログラムに比べるとかなり年齢層が高くなる。地元のおじいちゃんおばあちゃんが多く集まったようだった。上映直前には満席立ち見状態。
まずは、記録映画の上映。スプリットの戦後復興の様子が明るくポジティブに表現されている。時折、観客のお年寄りから歓声があがり、地元の人達は皆楽しんで鑑賞している様子。
上映後に制作プロセスの解説を、作り込まれたメイキング映像を用いながらのプレゼン。
記録フィルムの収集、パーフォレーションが壊れたフィルムの修復、スキャニング、デジタルによるフレーム単位での傷・汚れの修復、フレームのガタつきの補正、色補正、白黒からカラーへなど。
ぼく自身初めて得る知識ではないけれど、解説の展開について改めてとても参考になる。普段フィルムマテリアルとデジタルの違いなど意識しない一般の観客からもとても関心を得ていた。

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プレゼン後の質疑応答では、地域のご長老人から積極的に質問があがり、やや暫く盛り上がる。
マイクが無いのでよく聞き取れる位置まで、遠くの席から熱心が方々が徐々に舞台前の監督の元へ詰め寄せる。監督も一生懸命に質問対応する、この光景がとても良かった。ぼくは他の映画祭ではこんな場面を見た事が無い。
因にプレゼン時は英語通訳もしていたが、質疑応答が白熱してからはかなりローカルな話になっていたのか、クロアチア語オンリー。
でも、ぼくの隣に座っていったイラストレーターっぽいナイスガイ(ぼくの作品も見てくれていたようだ)が、簡単な英語でかいつまんで説明してくれたり、こういったちょっとしたコミュニケーションも気さくにこなしてくれる人が多かった。

古いフィルムのデジタル化、記録映像の再編集によるドキュメンタリー、共に今となっては技術的にも表現的にも珍しいものではないけれど、映画作品とその制作技術・プロセスを組み合わせて、映画祭という様々な世代、立場の観衆が集まる公の機会で発表することによって、その地域が持つ記憶を世代間又は、他地域の人々とも共有でき、同時に現存する記録フィルムの保存、アナログ・デジタル両面での技術的研究の重要性についても作品を連動させる事で具体的に提供でるという点において、このプレゼンは非常に素晴らしかった。

ぼくも、ちょうど渡独する直前まで、野幌の記録フィルム(8mm、16mm)のデジタル変換と資料作成の仕事をしていたが、日本はこういったアナログフィルムによる古い記録が比較的良い保存状態で残っていることが珍しくないお国柄。記録が趣味だったおじいさんの残したフィルムを地方の資料館や図書館に寄贈という話を聞くことも少なくない。
地域に残る記録を映画と言う形で再構築というのは、地方に眠っている「記憶」を資源として活かし、新しいコンテンツとして展開していくことにも繋がりそうな可能性を感じた。

このスプリトの取組みを参考に色々と考えが膨らむ。
ぼくとしては、ローカル・ファウンドフッテージのワークショップ(おじいさんのフィルムを孫がコラージュ!)みたいなことで表現の幅も広げられると理想的。今後の研究活動に向けてとても良いヒントを得た。

1人での参加だったので自分撮りはできていませんが、映画祭のオフィシャルサイトに記録写真・動画にチラリと写っていました。
サイトの作りは改善の余地ありだけれど、ドキュメントを小まめに残していく事もしっかり押えてます。
http://www.splitfilmfestival.hr/index.php?option=com_content&view=article&id=843&Itemid=290&lang=en
http://www.splitfilmfestival.hr/index.php?option=com_content&view=category&layout=blog&id=154&Itemid=289&lang=en

「スプリトについて」
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映画祭に参加の際には、開催される街のことにも興味があるので、街歩きや地元のミュージアムを見に行くこともかかせない。
初めてのクロアチア、そしてヨーロッパでも有数のリゾート地スプリト、行く以前からかなり楽しみだった。

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ケルンからは、ケルン・ボン空港から直行便が出ており、とても便利。もちろんヨーロッパ各地からも格安航空券で行く事が可能でアクセスはとても良い。
小さな空港は常に観光客で溢れているが、ドイツ人観光客がダントツ多かった。
空港から市街地へはシャトルバスが頻繁に出ていて、乗車も簡単。とっても小さな空港なのでまず迷う事は無い。調べたところ路線バスも行き来している。因に鉄道での空港アクセスは無い。
映画祭からの送迎もあったのだけれど、とりあえず行きはシャトルバスを利用してみた。帰りはホテルから空港までの送迎をお願いした。
バスの運転手のおじさんもしっかり英語対応。料金は確か30HRK(1クーナ=13~4円)。
空港のATMですぐにお金を下ろしたんだけど、大きな札しかない。でも、バスの運転手さんはしっかり細かいおつりも用意していて関心。
バスは3,40分でスプリットの街に到着、シャトルバスのステーションは、観光遊覧船等も停泊している港にある。しかもその港は古い街並自体が世界遺産となっているスプリットの目玉スポット(映画祭会場はこの中)とも隣接している。
観光の為のアクセス配置がもの凄くよく出来ていると観光の専門家でなくとも、着いた瞬間に気づかされてしまうほど。
もう1つの驚きは、治安の良さ。映画祭の終了時間が毎日0時を過ぎるのだけれど、その時間帯でも観光客もぶらぶらと外を歩いているし、ぼくの宿は会場から徒歩20分くらいの住宅街の中のホテルだったけど、そこまで歩いて帰る間も、全く怪しい気配は無い。夜中中、パン屋さんやケバブ屋さん等の買い食いスポットが開いていていて、学生の様な若者からおじさんまで結構たむろしてるけど、全然恐い感じがなかった。
それと便利な点としては、1ブロックの通りに最低2つはあるんじゃないかと思うくらい、街中に張り巡らされているATMが24時間フルオープン。ぼくはお金を使うタイミングは殆どなかったけれど、この異国の開放感と予想外の安心感、物価の安さにリゾート観光者の財布の紐が緩々になるのも簡単に想像がつく。上手く出来てる。
昼間、明るい所で改めて見ると、要所要所(道端)に警察官が立っていたり、パトカーで巡回していたりと治安の良さにも納得。
加えて、ネット環境の良さも観光客にとては本当に助かる機能。世界遺産の中でもフリーWiFiが結構感度よく繋がった。アカウントがSplit Cityとあったので、街の管理なのかなぁ?

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食事は、海の街なのでシーフードが有名だけれど、やっぱり日本の海鮮とは方向性が違う。
それでも、久しぶりにタコ、イカや小魚のフライが食べられてたのはとっても良かった。
レストランでコッテリ煮込み系だったり、パスタ的なものと一緒になるような、観光向け郷土料理よりも、魚市場脇のビアバーみたいな居酒屋で、金皿にザっと盛られたシーフードのミックス揚げを摘む方が乙です。美味しいです。
おばちゃんの無愛想さ(でも話すと優しい)と庶民的な雰囲気がとても良く、落ち着きます。昼に入ったら、日本と同じ様な愛憎ドロドロ系の昼ドラを放送していて面白かった(笑)

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ミュージアム系も時間がなかったので、映画祭会場から一番近いファインアートの美術館へ。
街のおススメとしては、歴史博物館系がいくつかある様です。行きたかった。。
コンパクトな美術館だったけれど、宗教画のコレクション、近代西洋絵画の小作のコレクション(シーレとか)、彫刻の小作品となかなか良かったです。後は静物画や風景画に地域性が出ていてそれも良かった。

こういう例え方が良いのか分からないが、スプリットは北海道だと函館と似た感じがある。世界遺産の街並みも、規模的にはちょうど五稜郭くらいの大きさ。街の大きさ的には、函館の方が大きいので、ぼくが小学生時代に暮らしていた伊達と同じくらいかな。海と山の迫り具合とかも感じが結構似ている。ぼくの中では海と歴史的な街並みというところでリンクしてしまった。
なので北海道人的イメージとしては、伊達紋別駅から函館五稜郭規模の大きさの古い街並が繋がっていてそれが世界遺産。世界遺産を囲んで都市部と住宅地域が広がっている。国際空港は室蘭くらいの所にあるみたいな感じ。
年中近隣国からの観光客で賑わっていて、夏のバケーションの終わり頃、そこで年に一度ヨーロッパを中心に世界中から作品が集まる国際映画祭を開催している。と言うのが、スプリトの映画祭。

ぼくは、映画祭への参加の際は、映像作家として映画を見ることだけを目的にする(無論これが最重要)のではなくて、その開催地域のことや文化事情もまとめて見て来ることがとても面白いと思っている。作家としては、色んな国の色んな映画祭に参加して実際に現地を訪れることで得られるものがとても大きい。
人の繋がりも然り。

Split Film Festival地域の特色も自然に感じる事ができる、面白い映画祭でした。
上映作品の善し悪しは、水物、主観なので、ぼくが見られたコンペ作品では正直グッとくるものは無かったけれど(見られなかったプログラムで見たかった作品は結構あった)、特集レトロスペクティブのIvan Ladislav Galetaさんの初期作品集は大変勉強になった。
今後も長く開催されて行くことで、更に良い映画祭へと発展して行く様に思います。
(それはこの後行くZagreb 25FPSで確信する)

他映画祭の様子、街の雰囲気などはこちらの記録写真で、
http://www.facebook.com/media/set/?set=a.354004838018128.85910.100002258443318&type=1&l=9e4276603d
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2012年09月14日

Frankfurt

フランクフルトへ、

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ケルンからは、鉄道で1~2時間弱とアクセスも割と良く、線路は途中ライン川沿いを走っているので景色もとても美しい。

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中央駅から歩いて美術館の並ぶ川向こうまで。
ケルンと比べると、新しいビルも多く日本の様な今風の都会的な街並です。この橋は何だか南七条大橋みたいな感じ。

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まずは、STÄDEL MUSEUM(シュテーデル美術館)
コレクションは古典絵画から近代へ、近代絵画からコンテンポラリーアートへと、絵画及び写真作品を主軸とした美術館。
それほど意識せずとも、コレクション展時を順序よく見て行けば、自然と西洋絵画の遍歴が頭に入ってくるという感じの非常に教育的な展示展開の美術館でした。

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この美術館で現物を見ながら西洋絵画の歴史をたどってみると、古典絵画、特に宗教画の存在が面白い。

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Thief to the left of Christ(1430)ロベルト・カルピン(蘭)

ぼくは画家ではないので、毎度のことながら映像との比較で見ていくのだけれど、
キリスト教を題材とするこれらの絵画の表現技法は、印刷された画集で見ていると、描かれている内容(出来事)を表面的に捉えがちだが、現物は、その内容に加えて、物として非常に重厚で何とも言えない空気感を纏っている。
信仰心等持っていなくても、作り込まれた濃密なイメージに圧倒される。そしてそれは絵画の大きさや描かれた内容によって受けるのではなく、ディテールから発せられる現物感だよなぁと自分の中では解釈する。

技法的な面で観察すると、描かれる内容の素材感(写真の絵だと肌、布、かぶり物、木、背景など)が、マティエールの違いとして物理的にもくっきりと描き分けられている。
人体の肌からは、極端に絵の具感を打ち消されていて、本物の肌らしさを追求していることが伝わってくる。でもそこには、生身の肌を超えた生々しさがあって、とても気持ち悪い感じもする。勿論実写像か受ける生々しさとは全く異なる。

その超現実的な生々しさというのが結果的に強い存在感だったり、宗教的には精神性に繋がっているんだろうなと想像する。

そして、この非現実的(ぼくは無宗教なのでそう言わせていただきます)な事柄を現実的に強く視覚化しようとする絵画表現は、今現在CGで追求されている仮想現実のリアリティに通じる物があるなぁと思えてしまった。なんだか単にそう言ってしまうと宗教的な重みがずいぶんと軽〜くなってしまうようだけれど、気持ち悪さを何かに例えたり比較しようすると、ぼくにはそう思えてならなかったのです。

システマチックな見方をすると、素材感の違いの描き分けは、書き割り的なCG合成との共通性があったり、皮膚や毛髪の表現につていも、職人技のレタッチで再現されるCGの気持ち悪さと非常に良く似ている。
視覚表現メディアとしての油絵は、現代のCGと同じ様に、当時の先端的な技術であって、この絵と同時期の15世紀の前半に油絵の具が画材として体系化されたとされている。平面上に3次元的時空間を現したり、その物の質感を感覚的な所まで繊細に可視化したり、開発当初から技術的に成熟していく過程で行われている試行錯誤がデジタルの技術と最終的な見た目という点で共通性があると考えるととても興味深い。
(因に、ここで"気持ち悪い"という言い回しにしているのは、生理的な拒否感ではなく、偽物が本物を超えて生々しく得体の知れないものと言う意味であって、否定的に用いている訳ではないです。決して"リアル"という一言だけででは言い表せない異質なものと認識しています。)

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さらに面白いなぁと思ったのは、近代から現代へと見進めていくと、それがこの美術館の特徴でもあると思うのだけれど、20世紀以降は、絵画が如何に絵画として存在するのか?といったコンセプトと表現手法が次から次に発生し、絵画の機能や解釈をどんどんと拡大して行く歴史。
ある程度はその遍歴も知識として入っていたものの、実物を目の前にすると、その変化の多様性を改めて実感する。
そしてこの絵画おける表現、方法論の拡張は、映画の発明以降20世紀の初頭から実験映画という形でその表現を拡張していった映像表現の遍歴とやっぱり良く似ている。イメージ構築という点で実験映画の方が少しだけ絵画の後追う様な形だと思うのだけど、現代に近づけば近づくほど、逆に絵画が映画や映像から影響を受けているところを垣間見られる点が増えてくる。

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自分の中ではずっと考えていたことだだったが、実物を見れたことでとってもスッキリとした気持ちになる。そして、今自分にはどんな実験ができるのだろうかと考えるのでした。
本物を見るのは本当に楽しい。

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それでもって、ポルケをぞろりと拝めたのもまた嬉しい!(写真は一部)

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企画展は、Malerei in Fotografie(Painting in Photography)
絵画にヒントを得た現代の写真作品の特集、企画展は撮影NG
写真もしくはプリント作品の展示だけれど、コレクションの流れから絵画を読み解く様な感覚で見られたのがとても面白かった。

基本的に写真は、一枚の層に収められたイメージであって、絵画とは違いそこには物理的な厚み(イメージを構築するための画材等の積み重ね)は存在しない。

でも、この企画展では、絵画において支持体に下地を作り画材を塗り重ねてイメージを構築していく様な意識で、時間によって形成されたイメージをコントロールしながら、それを絵の具やマティエールの様に扱い、1枚1層の像の中に時間という素材の厚みを考えさせられる作品群だった。
とっても絵画的な写真という見方が出来て、まんまと企画にはめられてしまった。
図録もじっくりと読み返したい。

その後、同じ通りの並びにある映画博物館へ、

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通りすがりにパイク。

deutsches filmmuseum(ドイツ映画博物館)

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まず、展示が非常に綺麗で驚く。

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資料の状態も良く、映像玩具は実際に触れて遊べる展示も多い。

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この、手回し式映画の仕組みを知っちゃいましょうマシンがとてもよく出来ていた。

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勿論、フィルムは列車の到着。

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映画制作技術の解説展示では、音声と映像それぞれモンタージュで遊べる仕掛けの、サンプリングマシン尽くしなのが特徴的。
映画好きの大人が充分に楽しめる。

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トーキーの歴史展示では、フィッシンガーのサウンドトラック制作のドキュメンタリーをミニモニターで上映。
ガラスケース内は撮影用の手描きのサウンドトラック。

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こちらは定番のリアルタイム合成。演出はなかなか面白い。任意の自分撮りはけっこう難しい(笑)

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映画のシーンと同じ照明効果の体験。一応全部試してみて、納得しつつ、画面を見てクスッと笑ってしまう。

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トロンの合成用マスク。かっこ良すぎる!

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マルチスクリーンコーナーでは、泣く、笑う、爆発、、、、といったテーマ毎に映画から抽出したカットアップ。博物館資料っていうよりは、ファウンドフッテージのインスタレーションみたいでかなり面白かった。

今滞在に限らず、これまでいくつか映画博物館を見て回りましたが、ここは今まで見た中で設備や展示の綺麗さ丁寧さでは一番だったと思います。オランダのEYEもそうでしたが、映像資料展示の為の技術の使い方が上手く参考になります。
映像文化と教育という点で、しっかりと予算と技術が注がれているところが素晴らしい。
日本でも早いこと、こういった様式の国公立のアニメーション博物館が出来ると良いなぁと切に思う。東京でなくても良いので。

フランクフルト、今回は数時間の滞在でしたが2つのミュージアムで非常に充実でした。

9月中のブログは、この後スプリット、ザグレブとクロアチア編が続きます。
むーん、時間がない…
posted by ani at 18:33 | Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2012年09月11日

K20,K21

Aachenの後は、週末久しぶりにデュッセルドルフへ。
デュッセルドルフには、K20とK21という近代、現代美術館があります。
いずれも20世紀以降の美術史上重要な多数揃え、K20は20世紀の絵画、K21は70年代以降の現代美術を中心とした常設展示に加えて、
先鋭的な企画展を開催していることで、ドイツの中でも存在感のある美術館です。
K21は2度目、K20は初めて行ってきました。

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K21では、コレクション展示のAlicja Kwadeが素晴らしかった。
他にもインスタレーション作品を多く展開していて、コレクションの展示内容としてはかなり良いタイミングで行けたと思う。

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パイクの中では最も好きな、TV Gardenは常設。やはり素晴らしい。

企画展は、シングルチャンンルのビデオアートを特集したBig Picture
こちらは全てビデオ作品の為撮影禁止。
メディアに対するアグレッシブな行為は、やはり時代を超えて強烈なインパクトを放つVito Acconci、ユーモアと皮肉がたまらない。
プロジェクションマッピングの初まり(?)Tony Ourslerの1999年の作品も、造形的なビデオ表現の遍歴の中で貴重な存在。今となっては、シングルチャンネルのビデオ作品だけをまとめて見るという美術展も殆どないので、改めて見て面白かった。それにしても、6月に見たimaiの企画展の時といい、ドイツではシングルチャンネルのビデオアートにこだわりを感じるなぁ。ぶれること無く美術表現としてしっかりと位置付けられてる印象。

続いて初のK20、ここの絵画コレクションが衝撃的に何度もため息が出る程良すぎた。

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展示空間も非常に素晴らしいです。とくにPOPの大作の展示室は神秘的とすら思える程です。
好きな作品があり過ぎてめまいがする程ウロウロしてしまった。かなり挙動不審だったと思います。。

どれをとっても良いもの尽くしの20世紀絵画幕の内みたいなコレクション展示でしたが、大きな収穫が2点。

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1つは、ドイツの画家Magnus Von Plessen、めちゃくちゃカッコいい。知りませんでした。久しぶりに画集が欲しくなりました。
後で調べてみると、元は写真家・映像作家、絵画を始めたのは2000年以降とのこと。それでいて既にK20のコレクション。
時間的概念を組み合わせながら描き進めているかの様な描画の方法論が非常に興味深い。

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もう1つは、Georges Braqueの遍歴をまとめて拝めたこと。
ぼくは、キュビスムへの展開についてはピカソよりもブラックの方が断然カッコいいと思っている。
この辺りの絵画表現について興味があるのは、空間、時間、加えて現実的な素材感の再構築という概念が、
それ以降の実験的な映画表現へ影響している若しくは関連性があると考えているからです。
更に多次元や異なる要素をイメージとして支持体に定着させていく過程を理解していくことは、メディアアート(映像も含む)について造形的な面から構想して行くことにも発展出来るとも考えています。
イメージを構成していく視覚的表現の遍歴として、絵画から実験映画、メディアアートと関連つけながら作品展開していくことが一貫してぼく制作・研究テーマとなっている。

今回のデユッセルドルフ、K20,21は、好みの物に恵まれ過ぎて、帰ってからも少し放心状態。
何だか、良い温泉に浸かり過ぎてのぼせた様な感覚だった。
今月後半の映画漬けには、もってこいのタイミングでの絵画漬けでした。

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2012年09月10日

Aachen

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先週は美術館尽くし、デュッセルドルフ、ボンに続き、ケルンの西側の都市Aachen(アーヘン)へ。
ケルンからアーヘンへの車窓からの風景がなかなか面白い。電車で約1時間弱。

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Aachen着、まずは世界遺産アーヘン大聖堂へ。ケルンのDomと比べてしまうと大きさはさほどではないけれど、内部の装飾、ステンドグラスは荘厳で素晴らしかった。大きな教会の中に入るといつも空間に対する意識の違いを感じざるを得ない。とても綺麗だとも思う反面すごく違和感もある。何か居心地が良い感じはしていない。

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ステンドグラスについても非常に関心があって、外光が色グラスを通して屋内に入ってくる大きな空間を眺めていると、やっぱり信仰しているものの違いによって”光”に対する意識が違うんじゃないかなぁと思えてる。
そう考えると、例えば抽象的なイメージの実験映画に対する見方、受け取り方、加えて時間的感覚についても東洋とは違うんだろうなと推察できたり、先端的な表現として位置付けられるメディアアートにおいても、表現者それぞれの感覚的なところで根深く内在している宗教観みたいなものが、最終的に表現や方法論の違いとなって表出されているような気がしてくる。
光、音、空間、時間など非物質的な要素を扱う表現を解読する上では、技術的な観点とはまた別に異文化における宗教観の違いについての理解も少しは必要だろうなぁ。ちょいとスピリチュアルですが…、そう思っています。

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引き出すとスピーカー、音が出る。

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ポチッ、ガラガラガラ〜と新聞紙面の資料が切り替わります。

続いて、International Zeitung Museum(国際新聞博物館)へ。
小さな博物館ですが、展示が充実していました。何かにつけ、いちいちオートマチックなのがドイツっぽい。北欧と比べてしまうと、野暮ったい感じですが、細部まできれいに作り込まれていました。よく出来た博物館です。

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絵が描けない映像作家の憧れ、フォトリアリズム

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意外と良かったキース・ヘリング

その後、街歩きをしながら、Ludwig Forumというアートスクールも兼ねた美術施設へ。
かつて傘工場だった建物をリノベートして使っている。
屋内空間全体が白く統一されているもものの、各所に工場の名残があって面白い。
地下をビデオ専用の展示室にしているのも理にかなっているし、シアターや書店もあった。

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企画展準備も丸見え。初めインスタレーションなのかと思って入ったら(他の展示室と繋がってるから)、怒られちゃったよ。。

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コレクションもPOP以降の良作ぞろいだったし、ビデオアートのコレクションでは初めて見たパイクのビデオ彫刻がどーんと常設展示。
企画展は60年代以降の世界を捉える為に、地理的、政治的な観点から、東西欧州、アメリカ、中国、キューバの作品を集めた展示とあった。この企画もなかなか面白かった。

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作品自体は非常に良かったのだけれど、ここの展示が今までに出会ったことの無い、よく言えば大胆、悪く言うと大雑把なことに驚いた。特にコレクションの展示が。
工場跡地の空間も影響していると思うけれど、歴史的アーティストの良作を何のバリアも無く身近に見られるという点ではとても新鮮。
釧路湿原に行って天然記念物の丹頂鶴ってこんなに間近で見れちゃうのぉ!?みたいな感じだった(笑)
ある意味、コレクションをしっかりと自分たちの物にしているとも言えるのかな?

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倉庫も開けっぴろげ。

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Aachenは、世界遺産や温泉で観光地としての知名度は多少あると思うが、都市の規模的には人口も25万程度と非常に小さい街。
そんな地方の小都市でも、美術の分野としてはかなり的を絞った形のコンテンポラリーな美術施設が成立しているところに、ドイツおける社会的な美術許容の裾野の広さと奥行きを感じさせられた。
マストではないけれど、行くとすごく面白いところ。日本の地方人にとっては魅力的です。
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2012年09月07日

schneiden das Rindfleisch in dünn stücke.



日本の料理をする時は、お肉屋さんで肉を薄切りにしてもらいます。
いつもの土日限定お肉屋さんにて。

後ろのおばちゃん達に、めっちゃ薄く切ってるよ〜、何作るのぉ?って笑われています(多分)
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2012年09月06日

Ende Sommer

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2012年09月04日

Stuttgart-3

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2日目の夜は、Omaのお宅の隣の普段は貸している空き部屋にお泊まりでした。
朝から、Johannes、Eva、ママが朝食を用意してくれている。

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昨夜のシュペッツレがカリカリにローストされて再登場。これまた美味しい。
ソーセージとの相性抜群で、朝から食が進む。

食後は、Johannesの就活用写真の再撮影。
前回よりも良いセッティング、ママもスタッッフに加わり、かなり完璧に良い顔が撮れた。
大学院を修了したてのJohannesの境遇は、数年前の自分を思い出しとっても共感出来る。
前夜のディナーでもママとも、Keitaroの場合はどうだったのかなど結構話した。
本当に良い仕事に巡り会って欲しいなぁ。

証明写真撮影後は、Evaのドキュメンタリー撮影の素材撮り、再びアルバイヒトおじさんのお宅へ行き、カオティックな部屋やプラン中の部屋を埋め尽くす巨大なモックや周辺の様子を撮影。まるで雲の様な教会の設計は見たことの無い建物。屋内の構想も人工物よは思えない様なとても不思議な空間になっている。Evaのドキュメンタリーの完成も楽しみだけれど、この教会が実現もとっても興味深かった。

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撮影を終えて、再びOma宅へ、ランチはJohannesの進めで1品ぼくが担当することに。
チキンのクリーム煮を作る。Johannesとのコラボ、なかなか良く出来ました。

食事中、アルバイヒトおじさんが、昨晩見たと言うジョン・ケージのドキュメンタリーからコンセプチャルアートの話でヒートアップ、ママ、Evaを交えての討論が始まった。
Johannesを見ると、また始まったよぉと言う顔で俯き加減、、どうやらアルバイヒトおじさんのアート話は恒例らしい。
当然ぼく等にも、、、? ってやっぱり来ちゃったよぉ。
何と返したら良いのか、モグモグしながら考えていたけど、タジタジ。もちろん独語でそんな難しい話は返せないので、英語でだけども、それでも厳しい。
どうやら、アルバイヒトおじさんはアーティストは特別な存在みないなことを言っていて、それに対してママが架け橋の様な存在みたいなことを言っている、ぼくらもママとはこれまでも少し美術の話もしたことあったし、ママの話(彼女は芸術にとても理解と関心のある小学校の先生)に共感できる。
ぼくらは、日本で聞いたいくつかの話や、アートやアーティストが特別というという訳ではなく、今は色んなものと混ざることが面白いんじゃないかと思っているみたいなことを話した。
ママ、Evaとは前にも少し話したことがあったので伝わったようだけど、アルバイヒトおじさんには、何だこいつら?みたいな感じになってしまった。
日本からドイツに来て、アートや映像と言っているのだから、特別なのだと思っていて当然と思われていたのかもしれない。
その後、また少しママとアルバイヒトおじさんがヒートアップしたが、時間がきたので自然と終息。Omaも終始しっかりと話を聞きながら、最後には自分の意見を言っていた(独語だったので分からず)。

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帰り際、アルバイヒトおじさんが、ぼくらの映像に興味を持ってくれて、またまたディクトップ上映会。
ぼくの作品を見ながら色々聞いて来るのだけれど、種明かしになっちゃうから最後まで見ててと言う。途中作品の内容を理解すると、ニヤッと振り向いて「おまえ〜このやろ〜、いいじゃね〜か〜」(表情だけ無言)みたいな感じでペチンとぼくのモモを叩く(笑)
なんともまぁ面白いキャラクターのおじさんです。ぼく等の作品はとても気に入ってくれた様子。こちらとしても見てもらえて良かった。

ということで、毎度お世話になりっぱなしのEva家のおかげで、自分たちだけでは出来ない経験をさせていただきました。地元の人の生活、郷土の食事、家族とのお話と堪能させていただきました。本当にありがとう!
帰りも、ママのイージーレッスンを交えつつの4時間のドライブでケルンへ。
良い週末でした。
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Stuttgart-2

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翌朝、朝食は再びOma(おばあちゃん)のお宅にて、おじさんの家族も一緒にそろって。
Johannes、Eva、ママが朝食の支度をしている間、Omaのなんとも素敵なピアノ演奏がBGM。
アルバイヒトおじさんの超可愛い赤ちゃんは双子ちゃん。

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日中は、Eva、Johannesと共に街中散策。

ベンツのお膝元シュトゥットガルトは、以前からコンサバな地域なんだよぉと聞かされていた。
行ってみると、なるほど納得、ケルンとは様子がずいぶんと違う。
かなり都会的で新しい建物が多いのだけれど、何だか垢抜けていない微妙な感じ。そして至る所にリッチな雰囲気が漂う。
ケルンも基本的には困らない程度に何でもあるけれど、何でもの品質、品種がちょっと違ってたなぁ〜。
街の中心にある市場は高級品が並ぶ。

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美術鑑賞はシュトゥットガルト美術館。
エントランス前の広場は、宮殿やオペラハウスも囲む街の中心で繁華街に向うアプローチ的一にもなっているので人の行き来が激しい。
そこに立つカルダー。

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どこに行っても入口カルダーって感じですが、こんなストリートスタイルのカルダーは初めて、ちょっとショック、、
でもある意味カッコいいかも?
Johannes曰く、シュトゥットガルトは、保守的な行政と若い世代の活動が衝突する、今は複雑な所だそうで(多分、、)、
カルダーの足下に何だかそんな地域性を垣間見た様な気がする。

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さて、一見小さめの美術館と思いきや、キューブの下に2層になって長く伸びる展示室、そこそこ大きな美術館です。
キューブの方では、コレクションの中からの小企画展。吹き抜けスペースに展示された地元作家のインスタレーションがなかなか面白い。

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企画展は1945以降のグリッドをテーマとした美術表現の特集
かなりのハードコアですが、構造を意識した作家にとっては、なかなか面白い企画です。展示作品は絵画に限らず、インスタレーション、彫刻、写真、映像、サウンドと幅広く集められいます。とは言え、企画の性質上絵画が中心ではあります。絵画から派生して行った視覚表現と言える様な流れになっていました。
しかし、映像系の作品の扱いが結構微妙で、実験映画系に目を向けられていないのが意外、、、と思いつつも、ぼくが思い浮かべるプリミティブなグリッド系の実験映画は'45以前だった。デジタルで現代のものとなると逆に切りがないとも言えるのかな、グリッドって。
露骨に同じテーマで、プロジェクタ、モニタと絵画を同じ展示室に並べられると、映像の鑑賞強度は極めて希薄です。
アニメーション作品入れたら良かったのになぁ。
絵画の制作行程における、視神経と手や体の感覚の関係にとても興味の湧く企画でした。

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ぼくは、特にFrank Badurの手描き仕事が良かった。

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企画が偏り過ぎているせいか、土曜の昼時だけれど人の入りはまばらでした。

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この美術館の特徴は、エントランスにカフェではなくバーがあるってところも。
高いんだろうけど、悪くない。

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待ち合わせの合間に、フリーマーケットもチラリ。そしてベンツ!

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街の中心は、小高い丘に囲まれていて、街から見える丘陵地域に住宅街がある。風景はきれいです。

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夕方からは、Evaの撮影手伝いで、アルバイヒトおじさんのお宅へ。

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撮影のテストが終わって暗くなってしまったので、Omaのお宅に戻る。
この日も夕食はJohannesプレゼンツのローカルフード。
シュペッツレ、チーズの混ざった手作りのもっちりショートパスタのようなものです。
これまた、初めての感覚、そして美味しかったぁ。
夜は長々とお話&散歩。
ダンケ!
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Stuttgart-1

先週末はStuttgartへ行ってきた。
ドイツの主要都市巡りとしてはハンブルクに続いて2つ目。

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今回もまたEva家にお世話になることに。
金曜の夕方からママの車で出発。Autbarn(高速道路)でケルンから南下すること約4時間の長時間ドライブ。
窓から見える景色が徐々に変わって行く。でも、やっぱり北海道と似ている。
違うのは、石造りの建物、古城、定期的に目に入る風力発電の大きな風車かな。

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Evaのおばあちゃんのお宅へ。家族の写真が至る所に飾られる素敵なお宅です。

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Johannesがローカルフードをいろいろと用意してくれていた。
スイスの名産だと言うソーセージ「Cervelat」がもの凄く美味しかった! 他にもソーセージ盛りだくさん。

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食後は、すでに恒例になりつつある作品上映。
お世話になっている恩返しと言えるのか…でも、これくらいでしかお返し出来ないので、
それにいつも進んで見せてと言ってくれるのがありがたい限り。
初めてのおばあちゃん、Johannesもしっかりと興味深く見てくれる。

この日は、ママの弟(建築家)さんのお宅にてお泊まり。感謝。



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2012年09月03日

the plates in August

8月の食事、忙しくってメニューが荒れています。
パスタがずいぶんと増える。。。

http://flic.kr/s/aHsjBSqPkA

シュトゥットガルトでヨハネスが用意してくれたスイスのソーセージが最高に美味しかった。
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