2012年05月21日

+new talents 2012

先週の後半は、ケルン市内で開催されていた+new talents 2012 biennale cologneという企画展を見て回った。

開催趣旨は、ケルン、ボン、デュッセルドルフ近隣地域3つのメディアアート系大学の卒業生(ビエンナーレなので2010年以降ということになる)による優秀作選抜展といったところです。大学の卒業、修了と言っても参加アーティストをみると、多くは70年代半ばから80年代前半生まれのほぼぼくと同世代。80年代後半生まれもチラホラとおりました。日本の大学システムとは少し違うので、今回参加している作家の大体が助成金や奨学金を得て長く教育機関に属しつつ作家活動を続けているということなのだと思います。
ジャンルは、展示(ファイン系メディアアート)、映画、音楽、デザインと大まかに分けられ、
その他パフォーマンス、ワークショップ、パネルディスカッション等もプログラムされていました。
約1週間の短い会期で、オープンニング時に多くのイベントや短編映画のプログラムがセッティンされていた模様。
それについては、ハンブルグ、オイティンに行っていたので見られなかった。

ぼくは、木金土を利用して見に行く。家からは自転車で15分程、街に出るついでみたいな感覚で行ける所です。
どれを見に行こうかとwebsiteを見ていて、運営方法で日本と大きく違うなぁと印象に残ったのは、開催の時間帯。展示系は基本15時〜20時、映画のプログラムや音楽のライブイベントは夜19時以降、かなり22時からの回もあり、結構遅くまでセッティングされている。映画祭の時間設定も似た感じですね。これだと学生以外に一般の人も充分見に行けるということでしょうか。まぁ、夜が9時過ぎまで明るいのでそう言う時間の流れってこともありますが。日本人的感覚だと、お昼前に見に行って、午後はまた別なことをするという休日の使い方が出来ないのはちょっと勿体ない気もする。それとも、ドイツは午前中にやることやって午後は遊ぶというスタイルなのかな?


_DSF0595.JPG

会場は、ケルンの中心街Neumarkt(ノイマルクト)を中心に美術館、ギャラリー、協会、映画館等、とボン(ケルンの隣)にも別会場があった様です。インスタレーション作品については、街並に唐突に若しくは溶込んであったりもします。(以下のフォトレポで紹介)メインのNeumarkt周辺の会場をぐるりと徒歩で巡っても30分程度で回れちゃう距離感ですが、映像作品やビデオアートもあったりするので実際には結構時間がかかります。ぼくは、映画のプログラムを1本と展示会場を見て来ました。


_DSF0499.jpg

_DSF0494.jpg

映画のプログラムは短編作品4本。ドラマ2本、ドキュメンタリー、アニメーションが各1本。
木曜日の夜7時からの上映だが、学生と思われる若者に限らずかなりの動員。50人位は入っていたと思う。優秀作とは言え学生作品上映で、1回の上映にこの人数、札幌では相当難しい。。因にケルンの人口は約100万、札幌のおよそ半分強です。。映画は勿論有料、一般6€/学生4€。
司会付きで1作毎丁寧に紹介されます。映画をきっちり見ようと思って、真ん中の良い席に座るも、この後混んで身動きがとれず。記録的にはお粗末な写真です。。
作品を見て驚いたのは、ドイツの学生なのに実写3作は全て海外ロケ、ギリシャ、アゼルバイジャン、トルコ。不思議でした。あとはプロダクションがしっかりしていることに感心。映画学校の環境作りやシステムにも興味があります。作品自体の内容は、どの作品もそこそこで悪くはないといったところでした。

展示についてはフォトレポで。

_DSF0510.jpg

_DSF0511.jpg

_DSF0513.jpg

_DSF0517.jpg

_DSF0518.jpg

美術館のホールが会場の一部に。ビデオアート作品と写真作品。
写真は、仮設のミニホワイトキューブに展示。作品写真集はミュージアムショップでも売られています。結構イイお値段。


_DSF0530.jpg

_DSF0532.jpg

_DSF0534.jpg

映像インスタレーション作品中心の会場。遮光しっかされています。作品は以外とアプローチが古いなぁと。悪くはない。


_DSF0544.jpg

_DSF0538.jpg

_DSF0539.jpg

ギャラリーでの展示。ミニマル、リサーチ、サンプリング。他に彫刻作品、絵画もありました。
展示会場には、必ず専属スタッフが在中し、お願いすると作品解説を丁寧にしてくれます。若しくは説明しますかと近づいて来てくれる。
またガイドツアーが定期的に回っています。みなさん結構ガイドツアーを利用されている。


_DSF0552.jpg

協会の扉へのインスタレーション。ここでもスタッフが丁寧に解説。お願いすれば英語でしくれます。
しかしスタッフの人(多分学生)の空気の読み方が上手い。これはお国柄でしょうか?
このお兄ちゃんも、さりげなく近づいて来て、英語が良い?ドイツ語が良い?と聞いてくれた上で、丁寧に説明。素晴らしい。
スタッフの目印はきれいなブルーのストール。ロゴやポスター、リーフレットのメインカラーも同じ色。
オーバーハウゼンでもそうだったけれど、企画自体のトータルデザインがしっかり出来ていて見る人にとってとても分かりやすい。


_DSF0553.jpg

インフォセンターのある協会の会場。
ここでも、映像も含めたインスタレーション作品が数点あったのですが、ぼくが行った時間帯が丁度礼拝中?で入ることが出来ず。。
あとからパンフで確認すると去年オスナブリュックで見た作品もあった。


_DSF0555.jpg

_DSF0556.jpg

ギャラリーに限らず、民家のガレージの様な所でも展示。


_DSF0548.jpg

_DSF0535.jpg

探すのに苦労する様な作品も。ドイツ語表記のパンフを読めない所為もあるけど。。

上は、小さなキャプションをやっと見つけて気付いた作品。閉まっているビルの中に展示されたインスタレーション。
ガラス向こうに見える、木箱が作品の一部。
下は、ガソリンスタンドの中に青色のLEDで光るラインを施した作品。このライトが無いことを想像するとなるほどぉ、夜暗くなってからのことを想像すると、なるほどねぇ。


_DSF0559.jpg

_DSF0560.jpg

オラファーみたいな作品。

_DSF0561.jpg

_DSF0563.jpg

_DSF0564.jpg

サウンド系ミニマル。台座はスピーカー。

_DSF0565.jpg

中心街からは少し離れた、裏通りのギャラリー。


_DSF0567.jpg

_DSF0568.jpg

その他、意外な所での展示も、
上は、民間企業のオフィスビルのエントランスホールの休憩スペースに彫刻の展示。通りに面したガラス越しからもインパクトがある。
下は、庭園(かなぁ?)の入り口守衛室の中に展示された作品。中には入れない。


_DSF0569.jpg

公園の真ん中にドーンと約5m四方のホワイトキューブ。中ではデザイン系のパネル展示とプレゼンイベントが開催されていた。

全体を通じて、作品は良いものもあったけれど、特別すごいという訳でもなかった。比較のポイントは少しずれるかもしれないが、アカデミックな視点からだとハンブルグのオープニング巡りをした時の作品よりは、断然好印象。
これまた比較して良いものかとも思うが、レベル的には例えば札幌の同世代作家でも充分に対応可能。スキルだけ見れば日本の学生・若手のすぐれている所も見出せる。ただ、アートとしてのポジション、パワー、信憑性はこちらの方が強いと感じた。

企画としては、関係教育機関の成果とこれからの若手作家の為のプレゼンテーションの場ということですが、平日中もかなり人が出入りしていたところを見ると、(出入りする様なところでやっていたのかもしれない)地域的なアートシーンにもしっかりと注目されているのかと思う。約一週間のショート企画にも関わらず、web、リーフレット、カタログ等広報媒体がが充実している点にも注目出来る。

なかなか参考になった。


_DSF0572.jpg

土日は、一気に気温も上がって、自転車の移動も気持ち良い。近所の公園ではワイワイと人が集まって薄着で太陽を満喫。
このまま暖かくなってくれると良いのだけれどな。


_DSF0573.jpg

ケンタも元気に半袖。

posted by ani at 06:04 | Comment(0) | TrackBack(0) | 日記