本日から日曜まで、東京へ来ています。
現在、9月始めに開催予定で企画している自主上映会の打ち合せ、大学集中講義の打ち合せ、
上映企画「アメリカの実験映画の現在」の鑑賞が主な目的。その他見られる限り色々と。
今日は、夕方近くに渋谷区立松濤美術館にてカレル・ゼマン展を見る。
カレル・ゼマンについては、作品以外のことをそれ程調べことはなかったが、緻密で統制のとれた映画制作の根元が、広告デザイナーだったことに納得。手描きのコンテ、キャラクターデザイン、アニメション用の人形に、合成指示書、作品やドキュメンタリーの上映とコンパクトな展示ながら内容は充実。
特に合成の技法については、平面的なコラージュだったり、フィルムベースでの光学処理なのかなと思っていたものが、以外と大掛かりなセットでのトリック撮影であったことが興味深かった。Photo Shop、After Effectsの作業を、撮影空間でリアルにやっちゃうんですね〜、というか1950,60当時はCGなんてないからそりゃあそうですよねとも思ったけど、あれだけセット空間使っていながら、「悪魔の発明」や「盗まれた飛行船」のビジュアルが絵画的でベッタリした感じに見えるのが面白かった。
ドキュメンタリーの抜粋の中(だったかな?)で本人が言ってたけど映画の元は「絵」なんだって。実写を撮影してまた絵に戻って来るところが、イメージの再現性の高さというか、グラフィックデザイン的な構成力だよなぁと思った。
改めてゼマンの長編、あと「カレル・ゼマンと子供たち」ってドキュメンタリーの全編見たいなぁ。
さらに、娘、孫娘もアニメーション、映像、絵本を手掛ける作家とのこと。今在日カナダ大使館で娘の個展も開催中らしく、滞在中見に行ってみよう。
2011年06月30日
2011年06月06日
かわなかさんの上映会、映画と美術
4,5月はあっという間過ぎ去った。
特に、5月の半分は時間の感覚がまるでない。
でも、非常に充実もしていた。
そして、5月の締めは、かわなかのぶひろさんの上映会。
「映画はどこからきたか/今、どこにいるのか かわなかのぶひろとアヴァンギャルド映像」
http://filmfilmfilm.org/avant_garde/
2日間みっちりの上映&トーク、映画前史に始まり、個人作家としての映画との向き合い方、創り続けること、上映すること、
大変勉強になりました。

特に、日本の実験映画を初めてドイツへ持ち込んだ時の流れから、ヴェルナー・ネケスの「フィルム ビフォー フィルム」に至るまでのエピソードは刺激的だったし、ここ3年程、フランス、ドイツと短い期間ではあるが毎年ヨーロッパの映画や映像アートシーンに触れる機会を得たので、自分の体験ともなんだか少しだけリンクした。
かなわかさんの、「当時のことは1984、5年の月刊イメージフォーラムに詳しく記載されています。」とう言葉に、
そう言えば…と、上映後研究室の本棚を確認してみたら、やっぱり持っていた、1984年8月号!

正に、特別プログラムのトークの内容が、より詳細にレポートされています。上映巡業前のドキドキ感や、現地の映画人のリアクション、討論、観客の様子から上映会場の建物のディテールや周辺の雰囲気に至るまで、まるで同行しているかのごとく疑似体験できちゃいます。
ケルンの映画館でウォーホルの映画を見に行くくだりでは、それ以前のドイツ滞在のことにまで振り返り、思わず笑えちゃう様なハプニングにも触れてたりします。これが本当に面白い! 職場帰りの高速バスで1人ニヤニヤしながら読んじゃいました。へへ
更に別の稿では、私小説ロングバーションに登場したボイスとパイクのジョイントコンサートのこともチョロっと掲載されております。
特別プログラム、Cプログラムを見た方はおススメですよ。前後の号も入手せねば!
かわなかさんの作品を見てお話を聞いていると、本筋の映画のことに加えて、その周辺には、必ず当時のアートシーンが見え隠れしてくる。ウォーホル、パイク、メカス、ビル・ヴィオラ等、そして内外の実験映画作家、映像と美術とが頻繁に交差し始めた当時の状況を映像作家として、またオーガナイザーとして語る体験談・交友録はリアリティに富み、とても魅力的。
ぼく自身、実験映画というスタンスを続けながら映像と美術との関わりについても意識しているという面もあり、本で調べる以上に得るものがあります。
また、今回の上映会は「映画はどこからきたか/今、どこにいるのか」というタイトルの通り、その出生と現地点について、本当に納得のゆく確認ができた。
それと同時に、遡ることで、映像とアートについて少し俯瞰できた様にも思える。
美術シーンにおける映像表現は、シングルチャンネルのインスタレーションからインタラクティブに発展したもの、ネットワークを介したものへと展開し、きっと3D映像もそこに加わってくるよなぁと想像がつく。個人的には最近の展示形式の映像作品で感銘をうけることは少ないのだけれど、面白いと思うものは、最先端の技術を用いた表現でも原初的な映像の仕組みに裏打ちされたものだったりする。
特別プログラムで、かわなかさんのトークと上映作品か得られたのは、
映画も美術における映像も、キーワードは、「動く映像の原理を知る」そして如何に現代的に展開するか。
(勿論これが、唯一の、という訳ではなくて、色んなベクトルから映像を見たり、創ったりする上での手がかりの1つ。)
この確認というか、改めて言葉で意識できたことは大きい。
今の自分の映画に対する向き合い方は、この方向で暫く変わらないと思うが、
映画や映像アートの作品の中にどんな新しい形で「動く映像の原理」が関わって行くのかというのも、見つけて行きたい。

特別プログラムで配布された、「光と影の偉大な技術史」は「レンズ・マジック」広瀬秀雄編(日本ブルタニカ)に掲載されております。装丁もかっちょ良いよ!
特に、5月の半分は時間の感覚がまるでない。
でも、非常に充実もしていた。
そして、5月の締めは、かわなかのぶひろさんの上映会。
「映画はどこからきたか/今、どこにいるのか かわなかのぶひろとアヴァンギャルド映像」
http://filmfilmfilm.org/avant_garde/
2日間みっちりの上映&トーク、映画前史に始まり、個人作家としての映画との向き合い方、創り続けること、上映すること、
大変勉強になりました。

特に、日本の実験映画を初めてドイツへ持ち込んだ時の流れから、ヴェルナー・ネケスの「フィルム ビフォー フィルム」に至るまでのエピソードは刺激的だったし、ここ3年程、フランス、ドイツと短い期間ではあるが毎年ヨーロッパの映画や映像アートシーンに触れる機会を得たので、自分の体験ともなんだか少しだけリンクした。
かなわかさんの、「当時のことは1984、5年の月刊イメージフォーラムに詳しく記載されています。」とう言葉に、
そう言えば…と、上映後研究室の本棚を確認してみたら、やっぱり持っていた、1984年8月号!

正に、特別プログラムのトークの内容が、より詳細にレポートされています。上映巡業前のドキドキ感や、現地の映画人のリアクション、討論、観客の様子から上映会場の建物のディテールや周辺の雰囲気に至るまで、まるで同行しているかのごとく疑似体験できちゃいます。
ケルンの映画館でウォーホルの映画を見に行くくだりでは、それ以前のドイツ滞在のことにまで振り返り、思わず笑えちゃう様なハプニングにも触れてたりします。これが本当に面白い! 職場帰りの高速バスで1人ニヤニヤしながら読んじゃいました。へへ
更に別の稿では、私小説ロングバーションに登場したボイスとパイクのジョイントコンサートのこともチョロっと掲載されております。
特別プログラム、Cプログラムを見た方はおススメですよ。前後の号も入手せねば!
かわなかさんの作品を見てお話を聞いていると、本筋の映画のことに加えて、その周辺には、必ず当時のアートシーンが見え隠れしてくる。ウォーホル、パイク、メカス、ビル・ヴィオラ等、そして内外の実験映画作家、映像と美術とが頻繁に交差し始めた当時の状況を映像作家として、またオーガナイザーとして語る体験談・交友録はリアリティに富み、とても魅力的。
ぼく自身、実験映画というスタンスを続けながら映像と美術との関わりについても意識しているという面もあり、本で調べる以上に得るものがあります。
また、今回の上映会は「映画はどこからきたか/今、どこにいるのか」というタイトルの通り、その出生と現地点について、本当に納得のゆく確認ができた。
それと同時に、遡ることで、映像とアートについて少し俯瞰できた様にも思える。
美術シーンにおける映像表現は、シングルチャンネルのインスタレーションからインタラクティブに発展したもの、ネットワークを介したものへと展開し、きっと3D映像もそこに加わってくるよなぁと想像がつく。個人的には最近の展示形式の映像作品で感銘をうけることは少ないのだけれど、面白いと思うものは、最先端の技術を用いた表現でも原初的な映像の仕組みに裏打ちされたものだったりする。
特別プログラムで、かわなかさんのトークと上映作品か得られたのは、
映画も美術における映像も、キーワードは、「動く映像の原理を知る」そして如何に現代的に展開するか。
(勿論これが、唯一の、という訳ではなくて、色んなベクトルから映像を見たり、創ったりする上での手がかりの1つ。)
この確認というか、改めて言葉で意識できたことは大きい。
今の自分の映画に対する向き合い方は、この方向で暫く変わらないと思うが、
映画や映像アートの作品の中にどんな新しい形で「動く映像の原理」が関わって行くのかというのも、見つけて行きたい。

特別プログラムで配布された、「光と影の偉大な技術史」は「レンズ・マジック」広瀬秀雄編(日本ブルタニカ)に掲載されております。装丁もかっちょ良いよ!